中学2年生の数学(証明①三角形の合同条件と証明の書き方)
三角形の合同条件
一方の図形を移動させて他方の図形と完全に重なる時、この2つの図形の関係を合同と言います。合同であるとき、記号「≡」を使います。
三角形は毎回重ねる事をしなくても、共通点があれば合同であることが分かります。この時の共通点が合同条件です。
三角形の合同条件
①. 3組の辺がそれぞれ等しい。
「三辺相等」と言ったりもします。
②. 2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい。
「二辺挟(夾)角相当」と言ったりもします。
③. 1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい。
「一辺両端角相当」と言ったりもします。
合同条件の別名について
自分はこの「三辺相等」「二辺挟(夾)角相当」「一辺両端角相当」は中学校の時に塾で教えてもらい、その後高校でも数学の実力がきちんとある方(大学院で数学の論文を書いていたり、ドイツの大学を卒業していたり、数検1級に毎年受かっていたりする人)にも教わったので「間違いではない」と思っています。なので自分が採点する時に答案に書かれていたら〇にします(漢字が間違っていたら流石にダメですが)。
ただ、学校のテストでは安全にやるなら学校で習った表現で書くのが賢いと思います。
②について
・AB=DE、BC=EF、∠B=∠E
・BC=EF、CA=FD、∠C=∠F
・CA=FD、AB=DE、∠A=∠D
の3つはどれも同じことです。
③について
②と同じで、3種ありますがどれも同じことです。
証明の問題の前に
「仮定や図形的な性質などを使い、合同であることを述べて結論を導く」のが証明問題と基本です。
問題文で、「A『ならば』Bである。」のAを仮定、Bを結論といいます。「ならば」の前が仮定、後ろが結論と考えましょう。
証明の締め方ですが、学校のテストなら習った通りの書き方でやるのが一番いいと思います。無難にやるなら「(証明終)」、他には「■」「//」何かもありますね。
三角形の証明問題を見てみよう
実際に問題を出しつつ、自分なりの考え方を紹介します。直角三角形の問題もやってみましょう。
例1. 三角形の証明問題その1
平行四辺形ABCDがあって、対角線を引き交点をEとします。
1.△ADE≡△CBEを証明せよ。
2.△ABE≡△CDEを証明せよ。
平行四辺形の時、証明に使いやすいのは「錯角」「同位角」「対頂角」の3つです。
平行四辺形は
1. 向かい合う辺の長さは等しい。
2. 向かい合う辺は平行である。
の2つの性質があります。「長方形を傾けた四角形」と考えましょう。
1.△ADEと△CBEにおいて、平行四辺形の性質により
向かい合う辺の長さは等しいから AD=CB ……①
辺ADとCBは平行なので、錯角より
∠ADE=∠CBE ……②
∠DAE=∠BCE ……③
①~③より1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しいから
△ADE≡△CBE (証明終)
2.も同じように証明できます。実際にやってみましょう。
ところで
上の例題で、合同条件をきちんと覚えてなかったとします。
対頂角は等しいので ∠DAE=∠BCE
ですが、「3組の角度がそれぞれ等しい」場合は確かに合同になる時もあります。でも、正三角形(角度の大きさがどれも60°)だからと言って辺の長さがいつも同じとは限りませんよね。なので「角度の大きさだけでは合同とは言えない」わけです。
ちなみにこれは合同条件ではなく、別の条件にはなります。「∽」な記号が出てくる分野で使います。
例2. 三角形の証明問題その2
上の図でAD∥BC、点Eが直線ACの中点ならばAD=CBを証明せよ。
「∥」は「平行な関係」という記号です。
平行な直線がある時、「錯角」「対頂角」のどちらかは使うと思っていいと思います。
証明に使う図形の考え方ですが、今回なら結論が「AD=CB」です。つまり、「ADとCBを含んでいる図形が合同だと言えばいい」のです。図を見てみると、△ADEと△CBEが候補になりそうですね。結論を見て合同であってほしい図形はどこか考えてみましょう。
△ADEと△CBEにおいて、
仮定より AE=CE(DE=BEでも可) ……①
平行な直線の錯角は等しいから
∠DAE=∠BCE(∠ADE=∠CBEでも可) ……②
対頂角より ∠AED=∠CEB ……③
①~③より、1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しいから
△ADE≡△CBE
合同な図形では対応する辺の長さは等しいから
AD=CB (証明終)
二等辺三角形と直角三角形の時も書こうと思いましたが、長すぎると思うので分ける事にして証明の書き方について書いて終わろうと思います。
証明の書き方
1. まずは問題の仮定と結論を見てみる。
仮定は「ならば」の前、結論は後ろでしたね。
2. 結論から証明に使う図形を考える。
結論が「この直線とこの直線が等しい」ならその直線を含む図形が合同である必要があります。直線ではなく、角度の場合も同じです。
3. 問題文を見てみる。
「この点はこの直線の中点(直線の真ん中の点)」「この直線とこの直線は平行」など問題文に書かれているなら、証明で「仮定より」と書けば使うことができます。
4. 図形の性質が使えるかどうか考える。
掘り下げませんが、正三角形・二等辺三角形・直角三角形・平行四辺形・ひし形・台形などには性質があります。証明でそれらを使う場合は例1のように使えます。
書き方の流れとしては
(合同である事を言いたい2つの図形)において、
(仮定や条件を使って)
(合同条件を使える事を述べて)
(2つの図形は合同である)
でしょうか。結論が「直線の長さが等しい」「角度の大きさが等しい」なら、
合同な図形では対応する辺の長さ(角度の大きさ)は等しいから
(結論)
が追加されます。