塾講師が数学をやりmath

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中学生の数学(1、2次関数の変域の復習をしてみます)

akina03math.hatenablog.com

 以前書いたこの記事が意外と見られているようなので、復習も兼ねて1次関数、2次関数の変域の問題をやってみましょう。今回は考え方と答えも書こうと思います。

 

共通している考え方

 上に貼った記事でも書きましたが、「変域の問題で分からなかったらグラフを描いてみる」のが基本的な考え方です。今回はこれをもう少しだけ掘り下げてみます。

 

1次関数の変域の問題

(1)1次関数y=ax+1は、xの変域が-2≦x≦4である時yの変域が-1≦y≦2であるという。aの値を求めよ。

 

(2)1次関数y=3x+2は、xの変域がs≦x≦tである時yの変域が5≦y≦8であるという。s、tの値を求めよ。

 

(3)1次関数y=-2x+3は、xの変域が-1≦x≦2である時yの変域がp≦y≦qであるという。p、qの値を求めよ。

 

◆ヒント

 1次関数y=ax+bは、「a>0の時はxが増えるとyも増える」「a<0の時はxが増えるとyは減る」という性質があります。

 

解説と答え

(1)

 実際にグラフを描いてみたいところですが、「a>0(右上がり)なのかa<0(右下がり)なのか分からない」ですね。なのでグラフを描かずに考えてみましょう。

 x=-2の時、yは式にx=-2を代入するとy=-2a+1です。x=4の時、同じように代入するとy=4a+1です。

 a>0だと、-2<4なので-2a+1より4a+1の方が大きいはずですね。つまり、「-2a+1=-1」「4a+1=2」となり、これはどちらも同じ答えになるはずです。しかし、計算してみると同じ答えにはなりません。つまりa>0ではないとなります。

 a<0だと、-2a+1の方が4a+1より大きいはずです。つまり、「-2a+1=2」「4a+1=-1」となり、これはどちらも同じ答えになるはずです。計算してみるとどちらも「a=-1/2」となるので答えは「a=-1/2」となります。

 

(2)

 グラフを描かなくても答えが分かる人は分かる問題の例になります。ヒントに書いた性質と、問題文の変域を見て考えてみましょう。

 

         f:id:Akina03math:20181104064026j:plain

 それはともかく、y=3x+2のグラフを描いてyの変域を書くと上の図のようになります。今回の問題なら理想はグラフを描かず、出来ればこの段階でxの変域を求めれるのが良いですがここから更に掘り下げてみましょう。

         f:id:Akina03math:20181104064556j:plain

 yが動く範囲はy軸の上というより、青で塗った範囲になります(こんな言い方をしたら怒られそうですが……)。y=3x+2と交わっている点が2つあるのが分かりますね。

        f:id:Akina03math:20181104065103j:plain

 つまり、sとtは図に書きこんだようにここになります。

 式として書くなら「5=3s+2」と「8=3t+2」ですね。答えはこれを解いて「s=1、t=2」です。

 

グラフを描くことから更に掘り下げて考えてみる

 

        f:id:Akina03math:20181104065745j:plain

 グラフを描いた図にxが動く範囲をyの時と同じように赤で塗って青と重なった部分のみ残すと上の図のようになります。四角形ができているのが分かると思います。つまり、変域の問題ではxの変域とyの変域で四角形が描けるわけです。

 

(3)

 グラフを描いて考える話は(2)でやったので、次は描かずにやってみましょう。

 今回の1次関数はa<0なので、xが増加するとyは必ず減少します。つまり、「-1≦x≦2ならp≦y≦qはp>qとなる」わけです。a>0ならp<qですね。

 yにx=-1を代入してp=5、x=2を代入してq=-1。よって答えは「p=5、q=-1」です。

 

2次関数の変域の問題(入試問題より)

           f:id:Akina03math:20181104071322j:plain

 図のように、関数y=ax^2のグラフの上に点(2,3)がある。次の問いに答えなさい。

(1)aの値を求めなさい。

(2)次のア、イにあてはまる数をそれぞれ求めなさい。

 関数y=ax^2において、xの変域がb≦x≦2のときのyの変域は0≦y≦3である。このとき、bの値の範囲は(ア)≦b≦(イ)である。

 (2016. 兵庫県・改)

 

 問題を作っても良かったですが、「こんな問題でも入試で出ますよ」という実例の方が良さそうなので(3)を省略していますが実際の入試問題から出題です。

 

◆ヒント

 aの計算は絶対に間違えないようにしましょう。アとイは、yの変域をグラフに描き込んで考えると分かりやすいです。

 

解説と答え

(1)

 yの式に(2,3)を代入して3=4aなので a=3/4 です。

 

(2)

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 yの変域(動く範囲)は上の図の青い範囲になります。xが負の時も入る事に注意しましょう。yの式にy=3を代入するとxの2次方程式になりますね。分かるならy軸対称であることを使って考えても大丈夫です。yの変域が0≦y≦3の時、xの変域は-2≦x≦2でb=-2です。

           f:id:Akina03math:20181104073545j:plain

 アとイで考えるのは上の図の赤色の四角形です。ところで、bが増えていくとyの変域はどうなるでしょうか?

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 bを増やすと上の図のようになり、赤で塗られた四角形の形が変わりますね。しかしyの変域はまだ変わっていません。yの変域は0≦y≦3で、これが変わるのは0が最小ではない、または最大が3よりも大きい時ですね。

 ア:

 青い範囲から出てはいけないので「-2」です。

 

 イ:

 y=0の時、x=0です。グラフを見ると分かる様に、yが0よりも大きいならxも0より大きくなります。今はyの変域が変わってはいけないので、xも0より大きくなってはいけません。よってbが0より大きくなることはありません。よって「0」です。


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