中学生の数学(1、2次関数の変域の問題での考え方と実例)
(2018/11/4 更新)
少しずつ期末テストが近づいてきたり、中学3年生は三者面談があるので面談担当の先生以外は授業コマが増えたりして「自分の時もこうだったのかなあ……」と思いながら最近は授業しています。中学2年生は学校によっては証明の範囲に突入し、ここで心折れる生徒もいそうなので教える側は頑張らないといけません。
それはさておき、本題。
関数の分野で登場した「変域」の問題について、1次関数2次関数関係なく「(´・ω・`)?」となっている生徒がいたので「問題で出てきたらどう考えるのか」を書いておきます。
そもそも変域とは?
変域とは、「変数がとれる値の範囲」の事です。「変数が移動できる値の範囲」と言った方がイメージしやすいでしょうか。
どう考えればいいのか
結論を先に書くと、「(慣れたらいらないけど)グラフを描いて考えればいい」です。これは1次関数、2次関数どちらの場合も同じです。
1次関数の場合(中学1年生、2年生)
1次関数といえば、傾きをa、切片をbとすると「y=ax+b」という式が出てきました。この式ですが1年生の人はb=0と考えてください。
上の図は変域の説明に良さそうな傾きをしているグラフです。
このグラフのxの変域が「-3≦x≦3」だとします。
xの変域を赤色で描き込んでみました。ところで、この式はy=axですがaは一定の値でxはとる値の範囲が決まっています。つまり、yも決まっているはずです。
その決まっているyの範囲はどこになるでしょうか?xは赤色の範囲を動きます。そして、yはxの値が分かるならxで書かれているyの式に代入すれば求まります。
つまり、この図の青色の範囲がyの変域になります。グラフを描いて、xが動く範囲を描き込んでみるとyが動く範囲もそのまま見えてくると思います。
なのでこの場合のyの変域は「-2≦y≦2」となります。
知っておきたい事
上に3つ画像がありますが、最後の図だけグラフが少しだけ変わっている事が分かりますか?グラフを描く問題の中に変域が混ざってくることもあるので、ここで触れておきます。
まず、「変域がある場合はグラフはその範囲だけにある」事です。つまり、「変域の外にあるグラフは描かなくてもいい」わけです。「描く場合は実線ではなく点線で描く必要がある」ので、実は上の2番目の図に描いてあるグラフはxの変域が決まった後なので間違っています。悩みましたが間違った例としてはいいかなと。
不等号の話は中学生には応用レベルになりそうなので省略します。個人的には不等号の方が「以上」「以下」「未満」よりも分かりやすいと思うんですけどね。
2次関数の場合(中学3年生)
中学1、2年生の人はまだ知らなくても大丈夫です。2年生の人はもしかすると「yがxの2乗に比例する式」を「次の中から1次関数のものを選べ」みたいな問題で見たことがあるかもしれませんが。
2次関数も1次関数と同じように、「グラフを描いて、xの変域を描き込んでyの移動範囲を考える」をすればyの変域は自然と見えてきます。
では、xの変域を「-4≦x≦2」としてみましょう。
上の図のようにxの変域を赤色として描き込んでみました。
ここにyの変域を青色として描き込んだのが上の図です。「2次関数の場合、xの変域が0を含むならyの変域も0を含む」事に注意しましょう。なのでxの変域が「-4≦x≦-1」とかなら0は無視できますね。
よってこの場合のyの変域は「0≦y≦8」となります。
変域を使った基本的な問題
こんな問題を作ることができます。上の解説では触れていない内容ですが、これもグラフを描けるなら分かる問題になります。
◆1次関数編
y=axのxの変域が-3≦x≦5の時、yの変域が-15≦y≦9であるという。aの値を求めよ。
●ヒント
xy平面を描いて変域部分を描き込むと、aがa>0かa<0なのか分かります。更新している時に思いましたが、aの値を求めるのではなくxかyの変域のどこかを求める問題にするべきだったなと思いました。
◆2次関数編
y=ax^2のxの変域が-4≦x≦6の時、yの変域が0≦y≦6であるという。aの値を求めよ。
●ヒント
y≧0なのでa>0です。下に凸の2次関数では、原点からの距離が大きいほどyの値が大きくなります。
高校数学になると「y≧0なのでa>0」は必ず成り立つわけではなくなります。中学生の間は「原点からの距離」と考えて大丈夫ですが、高校からは「軸からの距離」と考えるようにしましょう。興味がある人は「高校数学 2次関数」とかで調べてみて下さい。